宿題代行業から考える
昨今、宿題代行なる商売が大盛況のようで、夏休みの宿題(感想文や自由研究など)を子どもに代わって有償で行う業者で、ラストスパートの月末は大忙しのようである。
代行に関してはこの時期はサザエさん一家ですら、カツオ君の宿題を波平さんとマスオさんがはちまきを巻いて行っているシーンを今夜も見ることでしょう。
実際にこの代行業に関しては賛否両論で、「ビジネスにするな!」「ウソを教えている」という意見もある中で、「入試に向けて塾の宿題が多く学校の宿題まで手が回らない」「親が見る暇がない」などの依頼する側の意見も。
正直、SKIPを立ち上げる時も「体育に家庭教師など必要ない」と、私でさえ思ったくらいで、高額なお金を頂いてあそびに付き合うなんとも阿漕なビジネスだ!と疑問符がいっぱいつきました。
ビジネス面から考えると、ニーズがあるから成り立っている。 教育面から考えると、あってはならない業種である。
私が思うに、子どものためを思ってかどうかはなど理由はともあれ、依頼主は子どもではなく明らかに大人。愛する子に楽をさせていることに間違いはない。百歩譲って受験で忙しいためであったとして、合格して立派な中学や高校に進学しても、どこまで子どもをかばって生きていくのかの見極めをつけないと一生尻拭いである。
子どもの立場で考えると、他人がやった宿題で評価されることに恥ずかしさを感じる社会人になって欲しい。ましてやそんな作品を自慢げに言いふらす馬鹿な生き方はするものではない。塾の勉強だけが人生ではないと言うことを夏休みの経験や宿題から読み取れる人間になれば、捨てたものではないであろう。
学校側もわかっているはずである。どうせ宿題を出しても半数以上が親の手や他人の手が施されていることを。提出することが目的のみの宿題なのであればやらない方がいい。そこには内容や心が宿ってなどしないから。監視の目もなくあそび放題の4日間にもかかわらずつらい宿題をやりあげてきた事について褒め称える事の方が、人間は大きく育つのではないだろうか。
そして、クレームをいう人の立場からすると、確かに人は育たないと誰もが考える。あってはならない業種と声を大にして言いたいであろう。であるのであれば、匿名ではなく実名で訴えてはどうか。言うだけではグレーゾーンのビジネスはもっと増えるのみで、皆さんが盾となって阻止しなければいけないのではないか。また、文句を言う矛先は業者ではなく依頼主であるその親達です。親として失格だという正義心を訴え判らせて下さい。そして批判した人達が子どもの宿題を手伝ったり依頼したりしないように心がけて、運動も勉強も厳しく育ててほしいと思います。
ともあれ、今の非常識が10年もしないうちに常識になってしまう世の加速度の中で、子ども達が生き抜かなければなりません。せめて皆さんのお子さんだけは、タブレットなどに依存することなくあそぶ事ができ、勉強ができなくても努力することを忘れず、豊かな心を持てる人間でいられるよう、願っています。
ちょっと強引なまとめ方でしたが、代行業の存在そのものは私はアリだと思います。依頼人数が 0 となりこのような業者が自然消滅するかは、子を持つ親の努力しだいではないでしょうか。
TrackBack URL :
Comments (0)